仏蘭西電力物語

私にとって、フランスといわれてまず思い浮かべる事は、まず、原子力との関わりだ。

フランスの総電力を生み出す電源の、実に79パーセント近くが原子力であるという。これは、他国のそれと比べると、圧倒的だ。
原子力発電の開発が進んでいるといわれる、日本の電源別の原子力発電の占める割合が26パーセント前後である事を考えると、これは異様に高い。

要因としては、政府のエネルギー自給率を高めるという政策と、それを可能にした豊富な埋蔵ウランによって、積極的な原子力開発が推し進められてきたという点が挙げられる。ヨーロッパ全体の三分の一の産出量を誇る埋蔵ウランにより、98パーセントと高い石油の輸入依存とは裏腹に、全体の輸入依存度は50パーセント程にとどめられている。日本も石油依存度は同じく高いが、全体輸入依存度は82パーセント程だ。日本なんて…石炭とか軽油しか出ない…。ずるい…。

しかし、原子力のように、常に安全性の問題が付きまとう資源に頼る以上、リスクと向き合わねばならない。そもそもフランスは核兵器保有国でもある。高いエネルギーが時として、膨大な損害と凄絶な被害をもたらす事は、すでに歴史が教える必然だ。フランスでは、原子力エネルギーの運用と安全性の問題に高い関心を持っている人間も少なくないのではないかと推察する。

フランス国内の、核施設や話題の高エネルギー施設に対する関心、政府や各機関が国民からの理解を得るためにどんな取り組みをしているのか、そして、とりわけ若い世代の人間の意識と活動についてを、ぜひ今回の交流企画で覗ってみたいところだ。


小林